デビッド・バーンズ:考え方の誤りに名前をつけた精神科医
デビッド・D・バーンズは、ペンシルベニア大学でアーロン・ベックのもとで研修を受け、のちにスタンフォード大学で教えたアメリカの精神科医です。1980年の著書『いやな気分よ、さようなら』(原題 Feeling Good)で、よくある10の考え方の誤りを日常の言葉で説明しました。このリストは、CBTが扱うパターンに人々が気づく助けとなり、今も多くの考え方のクセのリストがそれにならっています。
要点
- バーンズはスタンフォード大学で医学を学び、ペンシルベニア大学で精神科の研修を受け、そこでアーロン・ベックとともに働きました。
- 著書『いやな気分よ、さようなら』(1980年)と『不安もパニックも、さようなら』(2006年)は、臨床家ではなく一般の読者に向けて書かれています。
- 10の考え方の誤りのリストは、ベックが示したパターンに日常的な名前をつけました。
- クセに名前をつけるのが第一歩、考えを確かめるのが第二歩です。
デビッド・バーンズとはどんな人ですか?
デビッド・D・バーンズは、1942年生まれのアメリカの精神科医です。スタンフォード大学で医学を学び、ペンシルベニア大学で精神科の研修を受けました。そこでアーロン・ベックの初期の教え子の1人となりました。のちにスタンフォード大学医学部で教え、現在は同学部の名誉非常勤教授です。
彼は、一般の読者に向けてCBTについて書いたことで最もよく知られています。一般向けの最初の本『いやな気分よ、さようなら』(原題 Feeling Good)は1980年に出版されました。1989年には『フィーリングGoodハンドブック』(原題 The Feeling Good Handbook)が、2006年には不安についての『不安もパニックも、さようなら』(原題 When Panic Attacks)が続きました。
10の考え方の誤りとは?
ベックは、自動思考に一貫して見られる誤りを説明していました。バーンズはそれを日常的な名前のついた短いリストにまとめ、読者が1つの考えを見て、どのパターンに当てはまるかを言えるようにしました。私たちの言葉で言うと、彼のリストには次のようなパターンがあります。
- 物事を白か黒かで見て、その中間がない(白黒思考)
- 1つの悪い出来事を、終わりのないパターンにしてしまう(一般化のしすぎ)
- 否定的な細部を拾い出し、そればかり考える(心のフィルター)
- よいことを、数に入らないと言って片づけてしまう(マイナス化思考)
- 他人が考えていること(心の読みすぎ)や未来(先読みの誤り)について、結論に飛びつく
- 物事を大きくしすぎたり、小さくしすぎたりする(破局的思考と過小評価)
- 気持ちを証拠とみなす(感情的決めつけ)
- 自分や他人に向けた「〜すべき」「〜ねばならない」というルール(すべき思考)
- 何が起きたかを説明する代わりに、自分や他人にレッテルを貼る(レッテル貼り)
- すべてが自分のせいではないことについて、責任を背負い込む(自己関連づけ)
本によって、分け方や名前のつけ方は少しずつ違います。ThinkGOでは13の考え方のクセを使っていて、同じ範囲を扱いながら、いくつかのパターンを別々に挙げています。
誤りに名前をつけると、なぜ役に立つのでしょうか?
厳しい考えは、現実をそのまま描写したもののように感じられます。名前をつけると、自分とその考えとのあいだに少し距離ができます。「これは心の読みすぎだ。彼女が何を思ったか、本当はわからない」。名前をつけても考えが消えるわけではありませんが、これは自分についての事実ではなく、よくあるパターンなのだと思い出させてくれます。
バーンズは、名前をつけるのは第一歩にすぎないとはっきり述べていました。次は、その考えを確かめることです。根拠は何か、同じように考えている友人になら何と言うか、もっと公平に言うとどうなるか。それが思考記録やダブルスタンダード法のワークでする作業です。
具体例で見てみる
プレゼンテーションをして、ほとんどはうまくいったけれど、一度だけどこを話しているかわからなくなったとします。帰り道に浮かぶ考えはこうです。「完全に失敗した。自分が何もわかっていないのは、みんなにばれていた。引き受けるべきじゃなかった」。
リストに照らしてみると、この考えにはいくつもの誤りが一度に含まれています。
- 「完全に失敗した」は白黒思考です。1つのつまずきで、話全体が失敗になっています。
- 「みんなにばれていた」は心の読みすぎです。相手が何を見て、どう思ったかはわかりません。
- 「自分が何もわかっていない」はレッテル貼りに近いものです。一瞬の出来事から、人としての自分を判断しています。
- 「引き受けるべきじゃなかった」は、過去に向けたすべき思考です。
より公平な答えは、たとえばこうなります。「一度どこを話しているかわからなくなったけれど、また戻れた。ほとんどは計画どおりに進んだ。みんながどう思ったかはわからないし、2人が質問してくれたのだから、ちゃんと聞いてくれていたのだろう」。
自分で試すにはどうすればいいですか?
- 考えをつかまえる。気分が沈んだら、「今、頭に何が浮かんだだろう」と自問します。言葉どおりに書き留めます。
- 評価する。その考えをどのくらい信じていますか。0〜100%で評価します。
- クセに名前をつける。1つの考えが複数のクセに当てはまることはよくあります。それはふつうのことです。
- 答える。同じ立場の友人に言うように、本当のことを書きます。
- もう一度評価する。0%にすることが目的ではなく、考えのつかむ力がゆるむかどうかを見ることが目的です。
練習するうちに、パターンに気づくのがうまくなっていきます。何度も出てくる「お決まり」のクセが2つか3つある、と気づく人は少なくありません。
考え方の誤りは、自分のどこかがおかしいというしるしですか?
いいえ。誰でも、特に疲れているとき、ストレスがあるとき、気分が沈んでいるときには誤りを犯します。物事をすばやく理解するために頭が使う近道であり、ほとんどの場合はたいした害はありません。問題になるのは、それが自分や状況を見る主な見方になってしまったときや、嫌な気分を長引かせているときです。誤りに気づいたからといって、そう考えた自分が愚かだったわけではありません。今から確かめられる何かに気づいた、ということです。1週間のあいだに気づいたクセを短くメモしておき、どれがいちばんよく出てくるかを見るのが役に立つという人も多くいます。
彼はほかに何で知られていますか?
バーンズは、考えに気づいたあとにそれとどう取り組むかについても書いています。根拠を確かめることから、同じ立場の友人になら何と言うかを考えることまで、さまざまです。後年には臨床家向けの独自のアプローチを築きましたが、初期の著書は今も、多くの人がCBTの考え方に初めて出会うきっかけになっています。そのうち2冊は、ここでくわしく紹介しています。いやな気分よ、さようならと不安もパニックも、さようならです。
NHS(英国の国民保健サービス)も、役に立たない考えのとらえ直しを同じように説明しています。考えに気づき、それに疑問を投げかけ、よりバランスのとれた考えを見つけるというものです。ThinkGOはバーンズやその著書とは関係がありません。ThinkGOのワークは、彼やベックが書いたものと同じCBTの技法を使っています。
やってみる
2027年1月にApp Storeで公開予定
出典
- Burns, D. D. (1980). Feeling Good: The New Mood Therapy. William Morrow.
- Burns, D. D. (1989). The Feeling Good Handbook. William Morrow.
- Burns, D. D. (2006). When Panic Attacks. Morgan Road Books.
- Beck, A. T. (1963). Thinking and depression: I. Idiosyncratic content and cognitive distortions. Archives of General Psychiatry, 9(4), 324–333.
- Reframing unhelpful thoughts. Every Mind Matters, NHS.
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